9月中旬頃に心霊スポットして有名な旧小峰トンネル(小峰隧道)に探訪してきたので、ここにその報告をする。
旧小峰トンネル DATA
東京都内あきる野市と八王子市あいだに横たわる全長79.4Mのトンネル。
開通は1912年。かつては主要な交通経路として用いられていた当トンネルだが、設計の古さから問題も多かった。実際に訪れてみると分かるのだが、その道幅は狭く、付近の道路にいたっては厳しいカーブの連続である。加えて暴走族の出没などの問題も発生し、2002年の新小峰トンネルの開通を持ってその役目を終えた。
オカルトスポットしては、1989年に発生した連続幼女誘拐殺人事件において、犯人の宮崎勤が被害者の遺体を隠蔽した場所であるという噂を以て語られることが多いが、その真偽は不明である。
実際に行ってみて
新宿から車で約二時間、ようやく目的地周辺地域へと到着した。以下、写真と共にレポートする。
ほんの数十分前まで続いた東京市街の面影はすっかり消え失せ、あたりには畑や畜舎の名状しがたい臭いがただよっていた。
百万遍供養塔と刻まれた石塔の下に放置された短パン。持ち主は今どうしているのだろうか
新道と旧道の境目近くに立てかけられた看板。
我々は静かに曲がりくねった路に歩みを進める。ちょうど日が完全に沈みつつあった時間帯で、先ほどまで存在していた光が周囲から急速に失われていくのを感じた。せまり来る闇の経過が写真でも確認できるだろう。
こちらが2002年に新しく開通した新小峰トンネルである。道幅も広く整備されており、かつての交通の難所ぶりはなかなか想像できない。
この新トンネルの傍らに、旧小峰トンネルへと結ぶ道路が接続している。今は廃道となっており、柵で入り口が塞がれているものの、その脇を縫って歩行者は進入することが出来る。
用途不明の器械が錆びついたまま放置されていた。
傷んだ舗装路の路肩はすぐに落ち込んでおり、フラッツュの光 すら届かない谷となっていた。なお写真に写ってはいないが、この付近のガードレールはところどころ激しく傷ついており、事故の生々しい痕跡が見て取れた。
このように、たとえ宮崎勤事件の噂が無かったとしても、もとよりこのスポットは陰鬱な雰囲気をたたえており、心霊を呼び込みやすい性質を帯びていたといえよう。
旧道に入って三十分ほどたった頃だろうか。突如我々の前に光が見えた。それは意外な光景だった。もう何年も前に廃隧道となったトンネルに、未だに電気が通っているとは想像していなかったからである。しかし、これまで続いた暗闇とのギャップもあってか、隧道が我々を待ち構えていたかのようでもあり、むしろ美しさすら感じた。
闇にたゆたう旧小峰隧道
内部に入ってみると、残念ながら内壁は期待していたレンガ造りのむき出しではなく、事故防止のために舗装されてしまっていた。時の重みを感じる造りそのものと、妙につるつるした内装の組み合わせは、現実感の希薄な空間を生み出していた。
あまたの心霊スポットと同じく、心ない人の自己紹介形の落書きが多数見られた。
隧道を逆の入り口から見たところ。
わかりづらいが小峰隧道と読むことができる。
何故か落ちていた歯ブラシ。まさかとは思うがここで暮らしていた人がいるのだろうか。
以上のように、ひと通り内部を見て回ったが、幸か不幸か霊障及び怪奇現象に悩まされることはなかった。ただ、すでに書いたようにこのスポットはどこか現実離れした趣があり、むしろその風情を楽しむことができた。
これを執筆している現在、訪問から数週間が経った。このトンネルのイメージは、今ではどこか儚さを伴って私の記憶を漂っているようにも感じられる。
☆都心からこのスポットへ向かう場合は日程と時間をよく考えるべきです。
道路を下り方面に直進し続けることになると思うので、場合によっては渋滞に 巻き込まれて到着に時間がかかります。(実際、レンタカーの延長代を数千円 取られてしまいました。)
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