都市伝説研究!! さっちゃん

<さっちゃん> ■背景 いわゆる有名な都市伝説さっちゃんは阪田寛夫作詞、大中恩作曲の日本の童謡が元になっているという見方が一般的である。なお阪田氏は同じく有名な童謡「ねこふんじゃった」などの歌詞も手掛けている。


1. サッちゃんはね サチコっていうんだ
ほんとはね だけど ちっちゃいから
じぶんのこと サッちゃんって呼ぶんだよ
おかしいな サッちゃん
2. サッちゃんはね バナナが大好き
ほんとだよ だけど ちっちゃいから
バナナを はんぶんしか たべられないの
かわいそうね サッちゃん
3. サッちゃんがね 遠くへ行っちゃうって
ほんとかな だけど ちっちゃいから
ぼくのこと わすれてしまうだろ
さびしいな サッちゃん



坂田氏はこの歌詞について幼い頃、近所に住んでいた少女サッちゃんのことを歌っていると語る。2番は坂田氏本人が体が弱かった子供時代を参考に書き、3番は「現実のサッちゃんは、引越したのか、いつのまにかいなくなっていたので、勢いにまかせとおくへいっちゃうことにした」と語る。



一見すると切なく幼い恋の歌という印象を受けるのみで、特に都市伝説の土壌となるような要素は感じられない。しかしこの歌は女子高生たちを中心に恐怖の都市伝説として爆発的に広まった。そうなる原因があるとすれば「遠くへいっちゃう」という表現方法が意味深だからではないだろうか。歌詞自体は引っ越すなどの意味で「遠くにいく」という表現を用いているのだろうが、「いく」が「行く」以外に「逝く」ともとれることから都市伝説化したと考えるべきである。
最後の歌詞の「行く」を「逝く」に変換しただけで、ガラリと歌全体の印象が変化するのがわかる。1番のさっちゃんが幼いことを示すほほえましい歌詞は「幼さ」という無邪気な残酷さを強調しているように感じられるし、2番のバナナの話は「食べられない」という否定的な要因がいくらでも都市伝説のネタになりうる。



■研究v *病気
さっちゃんは実は病気で、2番にでてくる「バナナを半分しか食べられない」のくだりは病気が原因であり、3番で逝ってしまう。また昔バナナは高級品で病気の時くらいしか食べさせてもらえなかった→さっちゃんは病気の解釈もある。
*電車事故
歌には4番が存在し、その内容を知ってしまうと三時間以内にだれかほかの5人に話さなくてはさっちゃんに殺される。また、5番を知って歌えば回避できるという付随的な話もある。
以下は都市伝説でよく言われる4番の歌詞。
さっちゃんはね、電車で足をなくしたよ だからオマエの足をもらいに行くんだよ 今夜だよ さっちゃん
ここで気になるのが「電車で足をなくした」という脈絡のないくだりである。たとえ3番の歌詞でさっちゃんが「逝って」しまったと解釈したとしても、後付けで突然「死因」が語られるのは歌詞の流れとして不自然である。人為的に作り出されたものであるなら、都市伝説に真実性をもたせるためにも死因には触れず、3番のさっちゃんが遠くへ逝ってしまった流れから、幼くして死んださっちゃんが生きているものを恨んでいるということだけを前面に打ち出した歌詞にすればよい。また、さらに不自然な点として挙げられるのは、あきらかに死因がポピュラーでないという点である。バナナが半分しか食べられないことぐらいしか特徴がないさっちゃんが突然に事故に巻き込まれる流れはおかしいと言わざるを得ない。
だとすればやはりこの4番が生まれるにいたった過程は人為的なものでなく、なんらかのさっちゃんの歌と全く関係のない外部からの影響を受け自然に変質していったのだと考えるべきである。
その外部からの影響の第一候補として考えられているのは北海道の室蘭市で起こった人身事故であるといわれる。以下は都市伝説のスレッドなどで語られる事件の概要。
「これは、北海道の室蘭という所で本当に起こった事件をもとにした歌だそうです。
その事件とは、とても寒く雪の降る夜におこりました。
下校途中の桐谷佐知子ちゃん(14歳)は踏切で遮断機が降りてきていたので急いでわたりきろうと思い走りました。
しかし、雪で線路のみぞがかくれていたため足がみぞにはまり、足をくじいてしまいました。
彼女は必死で逃げようとしましたがよけきれず電車に引かれてしまいました。体は胴のあたりでちょうどきれいにまっぷたつになりふつうなら即死でした。
しかしあまりの寒さで血管が一時的に固まったため、
即死ではなく数分だけ苦しみながら生き続けることができました。
彼女は腕を立ててはうように踏切の外にでました。
意識が無くなっていくなかで最後まで苦しんで彼女は息をひきとりました。
そして彼女は死ぬ寸前までばらばらになった自分の下半身を探していた
そうです‥‥。
そして数年がたちました。当時のクラスメートの男子があの歌をおもしろがって作りました。
女子は、すごく怒ってやめさせましたが男子はそれを聞かず歌をどんどんひろめました。
しかしその3日後男子二人は、足のない死体となって発見されました‥‥‥。」
実名が出ているのはリアリティを出すための創作であるだろうし、あまりの寒さで血管が一時的に固まったため、即死ではなく数分だけ苦しみながら生き続けることが…のくだりは現実的ではないといわざるを得ないが、元となった事件がある可能性は十分にある。
参考として、2008年8月14日に室蘭市・崎守町のJR北海道が所有するJR崎守駅の構内で午前9時頃年配の女性が特急北斗4号にはねられる事故が発生したらしい。しかしこの事故が起きる前から「北海道室蘭市」の都市伝説が世にはこびっていたのは発生時期を見ても明らかだし、死者が年配の女性であるというのも歌の内容にそぐわない。よってこの現実におこり記録にも残っている(動画共有サイトYouTubeなどでもニュースを閲覧可能)北海道室蘭市で起こった人身事故は都市伝説に真実性をもたすためそれ以前からあった「電車事故」と結び付き、都合のいいところどりの都市伝説になったと考えるのが自然である。
つまり2008年8月14日の事故は後付けに都市伝説を強固にするための後付けにすぎず、もととなった事件はもっと以前に北海道室蘭市で起きていたのではないか。もしくは北海道室蘭市自という舞台自体もリアリティをだすための嘘(創作)かもしれないが、調査する価値はあると考える。
またリアリティに欠ける電車事故で真っ二つになったくだりだが、半分しか食べられないバナナがさっちゃんのまっぷたつになった体の比喩にもなっている可能性もある。



以下はネット媒体で広まっていった続きの歌詞である。
5サッちゃんはね 線路で足を なくしたよ
だから お前の 足を もらいに行くんだよ
今夜だよ サッちゃん

6さっちゃんはね、恨んでいるんだホントはね
だって押されたからみんなとさよなら、悔しいね
あいつらだ さっちゃん

7 さっちゃんはね 仲間がほしいのほんとにね
だから君も連れて行ってあげる
やさしいでしょ?さっちゃん

8 さっちゃんもね 悔しかったんだ君の事
何で君は生きているの?君がほしいよ
ほしいな さっちゃん

9 さっちゃんはね 今日が死んだ日だから
誕生日がほしいな♪でもきめたんだ
オマエガホシイ さっちゃん

10 さっちゃんはね この歌きーくと落ち着くの
あなたもいっしょに歌わない?
あの世で さっちゃん


あまり有名でないのに加え、みんなに押されたのだという情報以外には死者であるさっちゃんの生者への嫉妬心ぐらいしか書かれていない。押されたという情報が加えられたのも4番の電車事故に残虐性を加えるため過激化したのは都市伝説においては自然な流れである。よって5番以下は全くの人為的創作であり特筆すべき点はないと考える。